法律Q&A

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休日を他の日に振替えて取得することは可能なのか?(P4-17)

(1)労基法の週休制と休日振替
 労基法35条1項は、週1日の週休制を義務付けています(P4-13参照)。しかし、企業は突発的な受注への対処など一時的な業務上の必要性から、従業員に対し、就業規則上休日と定められた特定の日を労働日に変更し、代わりにその前後の特定の労働日を休日に変更する(このような意味で休日を他の日に「振替」える)措置をとることがあります。
(2)二つの振替
 この点でよく誤解されているので注意すべきは、このような広い意味での休日振替にも、[1]「事前の振替」(あらかじめ「振替休日」を指定したうえで特定の休日を労働日とすること、これが本来の「休日振替」)と、[2]「事後の振替」(休日に労働をさせた後に「代休日」を与えること、これが本来の「代休」)とがあり、これらは労基法上の取扱いが大いに異なるということです(菅野和夫「労働法」第5版補正2版253以下参照)。
(3)「事前の振替」と振替休日
 事前の振替は、労働契約上特定されている休日を他の日(振替休日)に変更することなので、会社の休日振替命令が、労働協約や就業規則などの労働契約上の根拠が必要で、それらの規定で、定められた休日を他の日に振替えることができること、そしてその理由・方法を定める規定があり、それに従って振替が行われることが必要です。このような規定がない場合には、休日振替えは、労働者の個別の同意が必要となります(鹿屋市事件・鹿児島地判昭48.2.8判時718 -104)。又、事前の休日振替えは、労基法の1週1日又は4週4日(同35条2項の変形週休制)の休日の要件をみたさなければならないので、企業は振替休日の日をこの要件に反しないように配置し、指定しなければなりません。そしてこの要件をみたす限り、事前の休日振替えにより、本来の休日の労働は労働日の労働となり、それについては労基法上の割増賃金(同37条)の請求権はありません(三菱重工業事件・横浜地判昭55.3.28労判339-20、昭 63.3.14基発150)。但し、振替えにより週の法定時間を超えると超えた時間につき1.25倍の割増賃金請求権が発生します(同通達)。なお、休日労働が禁止されている妊産婦についても(労基法66条2項)、このような形で特定されていた休日に労働させることができます。
(4)「事後の振替」と代休
 次に一般に代休と言われる「事後的な休日振替」についても、事前の休日振替と同様に労働契約上の根拠が必要で、労働協約または就業規則などの根拠規定に従って行うか、又は労働者の個別的同意が必要です。しかし、この事後の振替の場合には、就業規則上定められた休日が休日のまま労働日として使用されたことになり、それが労基法上の法定休日であった場合には、同法上の休日労働の要件をみたすことが必要となります。つまり、企業は、36協定による休日労働の規定(同36条)に基くことが必要で、その休日労働に対しては割増賃金(同37条)を支払わなければなりません。しかし、代休日を与えることは労基法上要求されていないため代休日を与える場合も週1日や4週4休の週休制の要件(同35条)は関係ありません。なお、事後振替の代休の場合は、これを貰っても、当然には、割増分しか賃金を請求できなくなる訳ではなく、1.35倍の割増賃金の支払請求権があり得るということです。企業が、代休を与えた場合に35%の割増分のみで済ますためには代休取得の場合に関する賃金の精算規定を置く必要があります。
(5)法定外休日の振替
 なお、以上と異なり、企業が労基法の基準を上回って与えているいわゆる法定外休日については、労基法上の制限はなく、36協定の締結、割増賃金の支払や、事前の振替の場合の4週間以内の振替などの拘束はありません。又、振替の代休を与えるかどうかも労使で自由に決めることができます。しかし、振替の労働契約上の根拠が必要であることは法定休日の場合と同じです。

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