法律Q&A

分類:

労働組合とは何か?(P11-1)

(1)労働組合とは
 労組法上は、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体またはその連合団体」(労組法2条本文)はその名称のいかんを問わずすべて労働組合です。つまり、労働者が作ろうとする団体あるいはできた組織が以上の「組合の団体性と自主性等に関する実質的要件」を備えていれば、労働者は民事・刑事の免責(同1条2項、8条)、および不当労働行為からの救済を受け(同7条)、組合の締結した労働協約は規範的効力等(同16条、17、18条P1-2参照)をもつことになります。
労組法は、憲法28条の労働三権の保障を受けて、労使対等の理念に基づく団体交渉の助成のために上記のような積極的な保護を与えているのです(同1条1項)。
(2)組合の団体性
 労組法上の労働組合は、「団体またはその連合団体」であり、ここでいう「団体」とは、二人以上の複数人の結合であって、規約を持って、その運営のための組織(とくに役員と財政)を持っているものをいうと解されています(友浦鉄鋼所事件・岡山地判昭39.7.7労民15-4-825等)。
(3)組合の自主性
 労組法は、労働組合の実質的要件として、前述の通り「自主性」を挙げています。自主性は、とりわけ使用者からの「独立性」を重要な内容としており、結成についてばかりでなく、その後の維持・運営についても必要とされています。
(4)結成手続
 現行法は、労働組合の作り方については、自由設立主義をとり、なんらの規制も行なっていません。届出も登記手続も必要ありませんし、使用者の認知・承認を受ける必要もありません。但し、団体性については、これらの構成員を結合し組織づけるための規約があり、それに基づいて代表者がきまっている、という事実が存在しなければなりません(茨城貨物自動車事件・最判昭25.7.11 刑集4-7-1275)。
(5)組合規約の記載事項
 以上のように、組合規約は労働組合の結成に当たって欠かすことのできない重要なものとされています。労組法5条2項は、労働組合が民主的に運営されることを確保する意味で、組合規約に最小限含まれなければならない事項(いわゆる組合の民主性に関する形式的要件)として、組合員資格についての差別的取扱いの禁止、役員の直接無記名投票による選出、総会の少なくとも毎年年1回開催、直接無記名投票の過半数による同盟罷業(ストライキ)開始の決定など9項目を挙げています。
(6)規約不備組合
 上記規約の必要記載事項の要件を満たさない労働組合(いわゆる規約不備組合)は組合自体としては資格審査(同5条1項)を通過せず、したがって労組法に規定する手続に参与する資格を持たず、かつ同法に規定する救済を与えられません。また、法人格も取得できません(同11条)。しかし、労働組合の定義の基本的要件(2条本文)を満たすので、民・刑事の免責および裁判所における不利益取扱いからの保護を受けるのはもちろん、上記定義の全要件に合致する以上、労働協約の締結主体たる労働組合(同14条)には該当しますので、それを締結すれば関係規定(同14条乃至18条)の適用は受けます。もっとも、資格審査の実務においては、補正勧告によってほとんどすべての組合が規約上の要件を備えることとなるようです。

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