メルマガ「人事労務の勘所」

2016.07.06

第33回 居酒屋で泥酔し、店員を殴り逮捕された社員の懲戒解雇は有効か?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
皆様のビジネスシーンや生活の中で、少しでもお役立ていただければ幸いです。

※このメールは以前に、当事務所にお越しいただいた方、
名刺を交換させていただいた方、当事務所のHPより
メルマガ購読のご登録をいただいた方を対象にお送りしております。
不要の際はお手数ですが、下記【配信停止はこちら】よりお願いいたします。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

『今月の人事労務の勘所』
---------------------------------------------------------------
【 Q 】
居酒屋で泥酔し、店員を殴り逮捕された社員の懲戒解雇は有効か?
---------------------------------------------------------------
【 状況 】
弊社の平社員であるXは、休日に友人と酒を飲み泥酔し、
居酒屋の店員を殴り、警察に通報され、逮捕・勾留されました。
Xは初犯であり、示談も成立した等の事情から不起訴処分となり、
報道等もされていません。
本事件を理由にXを懲戒解雇することはできるのでしょうか。
---------------------------------------------------------------
【 A 】
Xの非違行為の程度に比して、懲戒解雇というXに不利益が極めて大きい処分は、
無効であると考えられます。
---------------------------------------------------------------
【 解説 】
判例では、業務に関連しない(今回の場合はXの)私的な犯罪行為について
懲戒が許されるのは、会社の事業の規模や労働者の地位・職種などを
総合的に考慮して、その「行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が
相当重大である場合」に限られると判断しています。

今回の場合、Xは職務上の地位も低く、初犯で不起訴処分になっている上、
暴行行為は業務時間外であり、報道等で会社の社会的評価が
毀損されたともいえません。

したがって、懲戒解雇というXに不利益が極めて大きい処分は、
無効であると考えられます。

なお、懲戒解雇が有効と認められるためには
1 懲戒権が存在し、懲戒事由に該当すること
2 処分の相当性が認められること
3 適正な手続・制裁罰規制に反しないこと
が必要となります(今回の場合は1、2の観点から無効です)。

この1~3についての基本的な内容としては、
1 労使間の合意や、実質的に周知され、内容に合理性のある
 就業規則に懲戒の定めがあり、その懲戒事由に該当する
 (客観的に合理的な理由がある)こと

2 労働者の非違行為の程度に照らして、不当に重い懲戒処分でないこと

3 本人の弁明の機会の付与は規定の有無に関わらず行うこと
 また、過去に懲戒理由となった事実についての再度の処分ではないこと

などが挙げられます。
労働者に対する懲戒処分を行う場合には、1~3の各要件に
十分に留意して行う必要があるのです。
(文責:弁護士 髙木 健至)

~ 次回、平成28年8月配信予告 ~
【 Q 】
プロジェクトリーダーに任命されている社員の管理監督者性

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

~ 執筆者コラム ~
先日、定年後の再雇用者への賃金の引き下げが労働契約法20条に
違反するとされた判決(東京地判平成28年5月13日)が出されました。

同判決では、嘱託職員と正社員で職務内容や責任の程度が同一である
にもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額に
相違を設けることは、その相違の程度にかかわらず、
これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であると判断され、
関心が高まっております。

控訴されておりますので、高裁での判断が気になるところです。

弁護士 髙木健至のプロフィールはこちら
https://www.loi.gr.jp/about/lawyer/takagi-kenji.html#namelawyer

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

■事務所情報■
ロア・ユナイテッド法律事務所 代表パートナー 岩出 誠
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-1-23 虎ノ門東宝ビル9階
Tel:03-3592-1791(代表) Fax:03-5532-8427
E-mail:info@loi.minato.tokyo.jp
URL:https://www.loi.gr.jp/

【法律相談お申し込みはこちら】
https://www.loi.gr.jp/consultation/

【配信停止はこちら】
※本配信でURL装着

最後までご覧いただきありがとうございます。
今後もビジネスシーンや生活でお役に立つ法律情報をお送り致します。
ロア・ユナイテッド法律事務所 メールマガジン担当 能
                            以上

新規ご相談予約専用ダイヤル
0120-68-3118
ご相談予約 オンラインご相談予約 メルマガ登録はこちら