メルマガ「人事労務の勘所」

2016.12.26

第38回 労使間で労働条件の変更をする場合は書面で交わしておけば十分か?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
皆様のビジネスシーンや生活の中で、少しでもお役立ていただければ幸いです。

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当事務所の弁護士髙木健至の論文『平成29年1月1日施行!
厚労省「マタハラ指針」への具体的対応』が「ビジネス法務」
2017年1月号、82頁(中央経済社)に掲載されました。

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※当事務所は平成28年12月29日(木)~
平成29年1月5日(木)の間、冬季一斉休暇とさせていただきます。
ご迷惑をおかけ致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

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『今月の人事労務の勘所』
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【 Q 】
労使間で労働条件の変更をする場合は書面で交わしておけば十分か?
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【 状況 】
私は、今月末に30年勤務した会社を定年退職する予定です。
しかし、数年前管理職だった時に、会社が他社と合併しその際にできた
新しい退職金規程への変更に関する同意書に私がサインしたことから、
その規程により計算すると私の退職金は0となると説明を受けました。
私のサインは有効なのでしょうか?
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【 A 】
単にサインがあるだけでは、有効とするのは早計というべきです。
そのサインが、労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から、
十分に吟味する必要があります。
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【 解説 】
労働契約法8条によれば、労働条件は、労働者と使用者との
個別の合意によって変更することができるものであるとしています。
このことは、就業規則に定められている労働条件を労働者の不利益に変更する
場合であっても、その合意について就業規則の変更が必要とされることを除き、
同様であると解されます(同法9条より)。

もっとも、判例(山梨県民信用組合事件~最判平成28・2・19~)は、
労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、
このような個別合意を有効とすることについて、慎重な判断を示しています。

判例は、使用者が労働者よりも優越的な地位であることなどを考慮して、
労働者のサインがあることをもって、
直ちに労働者の同意があったものとみるのは相当でなく、
当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は
慎重にされるべきであるとするのです。

そして、その時の判断基準としては、
1 当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度
2 労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様
3 当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容
等を挙げております。

このような判断基準を総合的に考慮して、労働者のサインが
労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる
合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から、
労働条件の変更が有効かを、判断することになるのです。

今回のケースでも新しい退職金規程への変更において、
退職金が大幅に減額する可能性があることの説明を受け、
その認識をもってサインしたかどうかといった事情などにより
サインの有効性が判断されることになってきます。

(文責:弁護士 中村 博)

~ 次回、平成29年1月配信予告 ~
【 Q 】
労働者派遣法の期間制限のルールの改正内容と労働契約申込みみなし制度の内容は?

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~ 執筆者コラム ~
一般の契約法理からすれば、同意書に署名押印があれば、
それが偽造とか脅迫等によりなされたものでない限り、
有効とみられることが多いのですが、労働契約の場合は、
労使間の地位の優劣や情報量の差が考慮され、使用者側に相当重い
説明義務が課されている点がポイントです。

労働条件の変更の個別同意をとるときは十分に気をつけましょう。 

弁護士 中村 博のプロフィールはこちら
https://www.loi.gr.jp/about/lawyer/nakamura.html#namelawyer

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