メルマガ「人事労務の勘所」

2017.04.06

第42回 従業員が突然逮捕されてしまったら?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
皆様のビジネスシーンや生活の中で、少しでもお役立ていただければ幸いです。

※このメールは以前に、当事務所にお越しいただいた方、
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『今月の人事労務の勘所』
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【 Q 】
従業員が突然逮捕されてしまったら?
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【 状況 】
ある従業員が無断欠勤を始めたところ、
ほどなく警察に逮捕・勾留されたことが判明しました。
このような際、会社としてはどのように対処したらよいでしょうか。
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【 A 】
事実関係をよく確認したうえで、処分や解雇を検討する際には、
刑事手続の見通しやこれに要する期間を見極めることが肝要です。
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【 解説 】
従業員が無断欠勤を始めた後で、その従業員の弁護人だという
弁護士から連絡が入ることがあります。

このような場合、会社としては、まずは弁護人から以下の事項を聞き出すべきです。

1、事件の概要(逮捕日時・場所、被疑事実、罪名、被疑事実に対する本人認否等)
2、勾留場所(警察署が多い)
3、本人の会社に対する意向(顧客対応等、業務に関するものなど)

接見禁止決定が出ていなければ、勾留場所で本人と面談して
事実関係や今後の意向を確認すべきでしょう。

被疑事実が判明した段階で、会社は従業員に対する処分を検討することになります。
この場合、過去の裁判例、本人の認否の状況、有罪・無罪の見通し等を勘案しながら、
処分の適否及びその種類等を検討していくことになります。

ここで、推定無罪の原則からすれば、判決確定前の処分決定には慎重であるべきですし、
仮に本人が容疑を否認している場合には、なおさらそうだといえます。
判決の確定までは処分を保留するというのが、本来のあるべき姿です。

もっとも、通常の起訴(公判請求)であれば、
一審判決が出るまでに少なくとも数か月程度はかかりますし、
控訴がされれば、判決確定はさらに先延ばしになります。

勾留中に起訴されずに釈放され、いわゆる在宅事件となった場合には、
起訴・不起訴の処分決定だけで、数か月以上も待たされてしまう場合もあります。

このような場合に、会社として処分の結論を急ぐ必要から、
有罪判決を見越して、起訴や判決を待たずに解雇等の処分をする
というような運用も実際にはされているようです。

より安全な方法として、処分をしない代わりに自主的な退職を促し、
合意によって労働契約を終了させる場合もあります。
(文責:弁護士 岩野高明)

~ 次回、平成29年5月配信予告 ~
【 Q 】
休憩時間中の外出を許可制や届出制とすることは認められるか?

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~ 執筆者コラム ~
働き方改革の一環として、兼業・副業の普及拡大が政府の実行計画に
盛り込まれましたが、現実的にみると、クリアすべき課題が多いように感じます。

最大の障害と考えられるのは、労働時間の管理に関するものです。

現在の労働基準法の解釈では、
たとえば、早朝に2時間、副業である新聞配達をしてから本業に出勤した場合、
本業で6時間を超えて就労すると、超過分は割増賃金の支給対象になります。
この場合の支給義務は、本業の事業者に生じます。

このため、「副業での労働時間をどうやって把握するか」
という非常に困難な課題が浮上してきます。

この問題をはじめ、想定される様々な問題に政府がどのように対処するのか、
今後も注視していきたいと思います。

弁護士 岩野高明のプロフィールはこちら
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