メルマガ「人事労務の勘所」

2017.06.16

第44回 「辞職届」の意味と退職の効力発生時期

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ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
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『今月の人事労務の勘所』
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【 Q 】
「辞職届」の意味と退職の効力発生時期
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【 状況 】
部下が会社と合わないと言って、辞職届を提出しました。
慰留したのですが、翻意しなかったので、退職の方向で調整しました。
ところが、提出してから数日後、やはり会社に残りたいと言っています。
いまさら会社に残りたいと言われても困ってしまいます。
退職扱いにして問題ないでしょうか?
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【 A 】
状況からすれば、辞職届の提出は、合意解約の申し入れと判断される可能性が高く、
退職に関する決裁権限を持つ人事部長などが受理していれば退職扱いにできますが、
そうでなければ退職扱いにはできません。
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【 解説 】
「辞職届」の解釈は二通りあります。

一つは、労働者が一方的な意思表示によって
労働契約を解約する辞職の意思表示であるとするものです。

もう一つは、会社と労働者の合意によって
労働契約を解約する合意解約についての、
労働者側からの申込みであるという解釈です。

前者であれば、労働者の一方的な意思表示により効力が発生するので、
会社にその意思表示が到達した時点で効力が発生し、撤回ができなくなります。
これに対して、後者ならば会社が承諾の意思表示をするまでは撤回できます。
この点、最高裁判例では最終決裁権者である人事部長が退職届を受理した時点で
承諾の意思表示があったと認定されています。

裁判例では、辞職の効果の重大性と労働者保護の観点から、
会社の態度いかんにかかわらず確定的に雇用契約を終了させる労働者の意思が
客観的に明らかな場合に限り、辞職の意思表示と解釈すべき、
などとして、辞職の意思表示と解釈するのに慎重な態度を見せています。

そうすると、本件でも、特段の事情がない限り、
合意解約の申し込みと解釈されることになります。
承諾の意思表示を明確にしておかなければ、
「辞職届」の撤回を巡って紛争の余地を残すことになります。

よって、退職の効力を確定させたいのであれば、
最終決裁権者名義で受理した旨を書面で通知するなどして、
承諾の意思表示を明確にしておくべきでしょう。

(文責:弁護士 中村 仁恒)

~ 次回、平成29年7月配信予告 ~
【 Q 】
振替休日と代休の違いとは?

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~ 執筆者コラム ~
辞職や合意解約の意思表示は、書面に限らず、口頭でするのも可能です。
口頭による場合でもそれがなされた状況を考慮し、
売り言葉に買い言葉に類するような場合には、
雇用契約解約の意思表示とは認められません。

裁判例としては、会社からの退職勧告に対して、カナダ人労働者が、
「それはグッド・アイデアだ」と発言したのは、
退職勧告・提案に対してあきれた感情を大げさに表現したに過ぎず、
合意解約の意思表示とは認められないとしたものなどがあります。

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