メルマガ「人事労務の勘所」

2017.10.11

第48回 固定残業代を利用する場合の労働条件明示義務の内容は?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

今月も人事労務の勘所を配信いたします。
皆様のビジネスシーンや生活の中で、少しでもお役立ていただければ幸いです。

※このメールは以前に、当事務所にお越しいただいた方、
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『今月の人事労務の勘所』
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【 Q 】
固定残業代を利用する場合の労働条件明示義務の内容は?
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【 状況 】
いわゆる固定残業代を利用している場合において、
ハローワークや就職情報ウェブサイトに募集広告を出す際に、
明示しなければならない事項が変更されたと聞きましたが、
その内容はどのようなものでしょうか?
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【 A 】
固定残業代を利用している企業では、上記のような場合、
固定残業代を利用していることに加え、
その詳細な内容について明示しなければなりません。
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【 解説 】
いわゆる固定残業代とは、残業などした場合に支払われる割増賃金に換えて、
一定時間分の残業時間、休日出勤及び深夜残業に対して
定額で支払われる賃金をさします。
労働基準法は、法律で定められた割増賃金を下回らない限り、
このような固定残業代を支払うことを禁じてはいません。

従前の判例では、この固定残業代が許容される要件・要素として、
1、割増賃金の内払的性格を明示すること
2、内払い超過分の算定ができること
3、固定残業代でカバーされた時間を超えた割増賃金の支払いについて、
その超過分に関する支払合意をしているまたは実際に支払っていること
の全てを求める裁判例が多く見られました。
(ただし、最新の最高裁判例では、上記3の要件に言及せず、
1と2の要件についてのみ言及しています。)

このような裁判例を受け、職業安定法が今年改正され、関連する指針において、
固定残業代を採用する場合には、その詳細を明示することが義務づけられました。
(なお、施行は来年1月1日からですが、実際には既に運用されています。)

具体的には、
1、固定残業代を除いた基本給の額
2、固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
3、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働
に対して割増賃金を追加で支払う旨
の明示が求められています。

今後は、例えば、固定残業代の時間数の明示に関して、残業時間だけでなく、
深夜残業、休日出勤も含んだ固定残業代を利用している場合には、
「固定残業代(残業のみの場合は○○時間相当額)」などの表示を
労働条件明示事項には記載していくことが必要です。
(文責:弁護士 岩出 誠)

※今月の「人事労務の勘所」のテーマについて、もう少し詳しく知りたい!
という方は、当事務所のHP(ビジネスQ&A)をご覧ください。

ビジネスQ&Aのページはこちら
https://www.loi.gr.jp/knowledge/businesshomu/homu04/houmu09-02-03.html

~ 次回、平成29年11月配信予告 ~
【 Q 】
パワハラについて、会社が対策を実施しなければならない理由は?

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~ 執筆者コラム ~
衆院解散で流動的要素はありますが、厚労省が示した
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の
行方が注目されます。

そこでは、時間外労働時間の罰則付き上限規制、
高度プロフェッショナル制度等を含む平成27年上程以来たな晒しの
労基法改正案(取り下げて、修正の上一括上程予定)に加えて、
同一労働同一賃金ガイドライン案の確定と根拠法の整備を含む、
労契法、パート労働法、派遣法の改正案全体が、安保法案などと同様に、
一括上程されます。

我が国の労働法制史上、戦後2番目の大改正とも言われ、
日本の人事制度全般に重大な影響を与える大改革と評されています。
これらについては、LOIとしても、迅速・適確かつ
有益な情報を提供して行く所存です。

代表パートナー弁護士 岩出 誠のプロフィールはこちら
https://www.loi.gr.jp/about/lawyer/iwade.html#namelawyer

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