メルマガ「人事労務の勘所」

2014.05.14

第7回 派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合に、派遣元の使用者責任を問えるか?

いつもお世話になっております。
ロア・ユナイテッド法律事務所でございます。

「なるほど!そうだったのか!」と思えるような
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名刺を交換させていただいた方を対象にお送りしております。
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『今月の法律豆知識』
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【 Q 】 
派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合に、派遣元の使用者責任を問えるか。
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【 状況 】
派遣社員が、派遣就業中、派遣先において金員を持ち逃げした場合に、
派遣元も派遣先に対して民法715条1項の使用者責任を
負うことになるのでしょうか。
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【 A 】
派遣元と派遣社員との間において「指揮命令関係」が存在する場合には、
派遣元も派遣先に対して使用者責任を負う可能性が高いです。
ただし、過失相殺による損害賠償金額の減額がなされることがあります。
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【 解説 】
民法715条1項の使用者責任が認められるためには、
使用者と労働者の間に「指揮命令関係」が存在する必要があります。

派遣元と派遣社員との間においては、労働契約が締結されています。
しかし、派遣においては、派遣先が派遣社員に対して
指揮・命令することが予定されていることから、
派遣元と派遣社員との間には「指揮命令関係」が存在するのかとの
疑問が生じます。

しかし、この問題は、結局は派遣元と派遣社員との間において、
「実質的な指揮命令の関係」が存在するか否かに帰着するのであり、
ケース・バイ・ケースで判断せざるをえません。

具体的には、派遣元からの給与支払いの有無、
派遣元からの監督の有無・程度、労働者派遣基本契約における
派遣元の派遣先に対する損害賠償の規定の有無等を
勘案して判断することになります。

上記諸事情を総合的に判断した結果、
派遣元と派遣社員との間において「指揮命令関係」が
存在する場合には、派遣元も派遣先に対して
使用者責任を負う可能性が高いといえます。

ただし、仮に派遣元が使用者責任を負担することを前提としても、
派遣先による指揮・命令上の監督、注意義務違反の有無・程度を
主張・立証することにより、過失相殺による損害賠償金額の
減額を図ることが考えられます。

というのは、派遣においては、派遣先が派遣社員を指揮・命令する
関係にあることから、派遣先にも損害の公平な分担の観点より
損害を負担させることもありうるからです。
(文責:弁護士 村林 俊行)

~ 次回、6月配信予告 ~
【 Q 】
従業員のPCのモニタリングはどこまで許されるか?

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