法律Q&A

分類:

海外出張は拒否できるのか(P3-6)

(1)臨時性という出張の特性
 前述の配転(P2-2参照)、出向(P3-7参照)は、多くの場合時間的に数年単位であるのに比較して、出張は、場所の移動にしても、「労働者の業務内容や職場の変更」を伴う場合にも、臨時・短期間を想定して用いられる人事用語です。
(2)海外出張とは
 ちなみに労災保険が適用される海外出張は(P6-5参照)、国内の事業場に属し国内の指揮を受ける点で「海外派遣」と区別され、具体的には、商談のため、技術仕様などの打合わせ、市場調査、会議、視察、見学、アフターサービス、技術習得などでの渡航が該当します。
(3)海外出張義務は
 海外出張命令の有効性が問われた判例は見出せませんが、基本的に、前述の配転と同様に、労働協約および就業規則に会社は業務上の都合により海外を含む出張を命ずることができる旨の規定があり、実際にもそれらの規定に従い海外出張が頻繁に行われ、出張のない旨の合意がなされなかった場合には、企業は従業員の個別的同意なしに海外出張を命ずることができると解されます。出張命令を無効とされるのは、海外出張のない旨の合意が認められる場合の外は、海外出張命令につき、業務上の必要性がない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該出張命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは従業員に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときとされるでしょう。しかし、出張の前述の臨時性からも、この業務上の必要性の存在が緩やかに肯定され、従業員の不利益も余り重視されない可能性が高いでしょう。
従って、少なくとも、多くの企業の幹部候補生たるいわゆる総合職クラスの従業員には原則的に海外出張義務がある場合が多いでしょう。

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