職場の法律基礎

第7章 退職・解雇のことが知りたい!

行方不明中の従業員に対してどのような対処が認められるのか?(P7-8)

(1)解雇はありうる
 アドベンチャー・ツアーなど危険の多いレジャーの結果や、クレ・サラ問題で債権者の取立から逃れるための失踪などで、従業員が事前の連絡なしに会社に行かなくなり、その期間が長期に亘ることがあります。この内、従業員の責任によるものではない場合でも、普通解雇理由に該当し、労基法の解雇手続を取る限り(20条)、解雇は有効とされるでしょう。又、クレ・サラ問題による失踪のように原因が分っている場合には、従業員の責任による欠勤として懲戒解雇(P7-6参照)されるおそれもあります。しかし、原因不明の場合、実質的な長期の不就労を理由とする普通解雇とされるのが限度でしょう。
(2)公示による意思表示
 行方不明の相手に対する意思表示については、従業員が未成年の場合は親権者法定代理人である両親に対して行なう方法がありますが(民法98条)、それ以外の場合は、民法97条の2、民訴法110乃至113条による「公示による意思表示」という裁判所を用いる手続が求められています。これは、行方不明であることの証拠を提出した上で、裁判所への掲示や官報への掲載などもある煩雑な手続です。
(3)自然退職
 なお、就業規則に長期(一ヶ月を超す場合が多いようです)の行方不明(企業に届出られた連絡先での連絡不能で足りると定める場合もあり)を自然退職事由と定めている企業もあり、この場合は、解雇手続なしに労働契約が終了することもあります。
(4)企業の実務的対応策
 親族や身元保証人が居る場合の処理としては、親族等から、仮に本人から異議が出た場合には親族らが責任をもって処理する旨の誓約書付きで、従業員の代理人として退職届を提出して貰う方法が取られています。その法的効果には問題があり、姿を現した従業員が、退職の効果を争うことは可能ですが、傷のつかない依願退職を追認した方が得な場合もあるでしょう。

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