法律Q&A

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株主総会の招集手続

弁護士 浅見 雄輔1997年 4月:掲載
弁護士 小林 昌弘2001年 2月:校正
弁護士 大濱 正裕2007年12月:校正
弁護士 鈴木みなみ2016年 8月:補正

定時及び臨時の株主総会を開催するにはどのような手続を採らなければならないのですか。

私は、この度A株式会社の代表取締役社長に就任しました。株式会社は、株主総会を開かなければならないときいていますが、どのように開いたらよいのでしょうか。また、株主から開催することもできるのでしょうか。

株主総会を開催するには、原則として取締役会で開催日時、場所、議題を決定した上で、代表取締役がその内容を記載した書類を総会開催日より2週間前までに株主に発送して招集しなければなりませんが、例外として株主が招集する場合もあります。

1.定時総会の招集手続
 株主総会とは、株主全員で構成される株式会社の機関であり、株式会社においては、法律上必ず設けなければならないものです。そして株主総会は、会社のオーナーである株主により構成される機関なのですから、株式会社における最高の意思決定機関です。国の機関でいえば国会のようなものと言えるでしょう。
株主総会は、株式会社の最高の意思決定機関なのですから、代表取締役及び取締役会は、この株主総会の決定に従わなければなりません。
株主総会の決定事項については、法律で定められていますが、以上のような会社の最高意思決定機関という性質上、定款で規定すれば(設問[3-5-2]参照)、法律で定める事項以外の事項についても株主総会の決定事項とすることができます。
2.株主総会の意義・権限
 株主総会は以上のように会社の最高の意思決定機関だとしても、常に開催されている訳ではなく、定時あるいは臨時に招集され、開催されるものです。
定時株主総会とは、毎年、決算期毎に貸借対照表、損益計算書、利益処分案等の会社の計算書類の報告、承認をなすために、事業年度の終了後一定の時期に開催される株主総会のことをいいます(もちろん他の事項について決議することもできます。(会社法296条))。

定時株主総会を招集するためには、まず、取締役会を設置している会社においては取締役会が、取締役会非設置の会社においては取締役において、開催日時、場所、議題等を決定します(会社法298条)。取締役会設置会社では、取締役会を招集することなしに、代表取締役が単独で株主総会の招集をすることはできません。

なお、開催時期について、会社法施行規則第63条第1号において、定時株主総会について決定した日程が前事業年度に係る定時株主総会の日に応当する日と著しく離れた日である場合、または、株式会社が公開会社である場合において、当該日と同一の日において定時株主総会を開催する他の株式会社(公開会社に限る。)が著しく多い場合には、その日時を決定した理由を総会招集通知に記載しなければなりませんので注意が必要です。加えて、開催場所についても、同施行規則同条第2号において、株主総会の開催場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるときは、その場所を決定した理由を総会招集通知に記載しなければなりません(当該場所が定款で定められたものである場合、または当該場所で開催することについて株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合を除く)ので、この点も注意しなければなりません。

取締役会設置会社においては、取締役会の上記に関する決定に基づいて代表取締役が実際に招集通知を株主全員に発送します。招集通知は、原則として書面によることを要し、その書面には開催日時、場所、議題(重要な議題についてはその内容についても記載する必要があります。)を記載し、公開会社においては遅くとも総会開催の日より2週間前に発送しなればなりません。なお、公開会社でない会社においては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前で足ります(会社法299条)。この2週間前とは通知を発送した日の翌日から起算して総会開催の日までの間に少なくとも2週間の日をおくことが必要であるとされていますので注意して下さい(大判昭和10.7.15民集14-1401)。

なお、出席株主の収容が困難となるような狭い会場を選定したような場合には、株主総会での決議は取り消されることにもなりかねませんので注意して下さい(大阪地判昭和49.3.28判時736-20)。

なお、取締役会は、書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができ、この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなされます(会社法第299条第3項)。 招集通知には、取締役会非設置会社を除いて、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分案(損失処理案)、監査役の監査報告書の写しを添付して送付しなければなりません(会社法437条)。

3.株主総会の意義・権限
 定時総会を待っていては間に合わず、臨時に株主総会で報告をし、あるいは決議をする必要がある場合には、随時株主総会を開催することができます。これを臨時株主総会といいます(会社法296条第2項)。その招集手続は、添付書類を除いて定時株主総会と同様です。
4.全員出席総会・一人会社
 なお、以上のような招集手続に不備がある場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項につき決議したときは、その決議は有効に成立するとされています(最判昭和60.12.20民集39-8-1869)。
また、株主が一人しかいない、いわゆる一人会社においては、その一人の株主が出席すれば、招集の手続がなくても、株主総会は成立するとされています(最判昭和46.6.24民集25-4-596)。
5.総会招集手続の省略
 なお、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができます(会社法第300条)。煩雑で費用もかかる招集通知の発送などの手続きをとらなくてもよいということから、特に規模の小さい会社では実務上重要となるでしょう。
6.株主による招集
 以上のとおり、株主総会の招集は原則として取締役会設置会社においては取締役会が決定し、それにしたがって代表取締役がなすのですが、例外として以下の場合には株主から株主総会の開催を請求することができます。
すなわち、総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六か月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主)は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます(会社法第297条第1項)。なお、取締役に対して、会議の目的事項及び招集の理由を記載した書面を提出して株主総会の招集の請求をしたにもかかわらず、取締役会及び代表取締役により遅滞なく株主総会の招集の手続がとられず、あるいは上記書面により招集の請求をした日から8週間以内の日を開催日とする招集の通知が発せられない場合には、その請求をした株主は、裁判所の許可を得て株主総会の招集をすることができます(会社法第297条第4項)。

予防策

以上説明した招集手続を一つでも怠ると、あるいは一人の株主に対してでも怠ると、その株主総会での決議は取消または無効事由となりますから、株主総会の開催に当たっては、面倒でもきちんと手続きを踏むことが必要です。

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