法律Q&A

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相続手続と遺言の制度

弁護士 船橋 茂紀
1997年4月:掲載(校正・大濱 正裕2007年12月)

遺産相続で子供達がもめるのが心配です。相続制度について説明して下さい。

私は三人の息子がおりますが、甘やかして育てたせいか三人ともわがままで仲が非常に悪いです。私の死後遺産を巡って紛争になるのではないかととても心配です。紛争をおこさないために何かよい方法はありませんか。

遺産相続に関する争いを回避するには、遺留分等を考慮して、遺言執行者に適格な人物を選任して遺言書を作成するとよいでしょう。

1.相続の制度
 自然人の死亡により相続が発生します(民法882条)。相続とは、自然人の財産上の地位を特定の者に承継させることを言います。誰に・どのように相続させるかについては法律の規定があります。この法律の規定に従ってなされる相続を「法定相続」と言います。また、誰に・どのように相続させるかについて特に被相続人の作成した遺言の定めに従ってなされる場合もあります。これを「遺言による相続」と言います。
2.法定相続人
 誰が相続人となるかについては法律に規定があります。この規定によって相続人となる者を「法定相続人」と言います。「子」が第一順位の相続人とされ、「直系尊属」が第二順位の相続人とされ、「兄弟姉妹」が第三順位の相続人とされています(民法887条1項及び889条1項)。前順位の相続人が優先して相続人となるので、前順位の相続人が存在する限り、次順位の相続人は相続人となりません。そして、配偶者は常に相続人となり、その順位は右で相続人となった者と同一順位の相続人となります(民法890条)。
民法891条の1号から5号において「相続欠格事由」が定められていて、右の者であっても、右条項に該当する場合には、相続人となることができません。また、遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし若しくは重大な侮辱を加えた時又は推定相続人にその他の著しい非行があった時は、被相続人はその推定相続人の「廃除」を家庭裁判所に請求することができます(廃除は遺言ですることもできます)。家庭裁判所で廃除の審判が確定し又は調停が成立すると廃除された推定相続人は相続権を失います(民法892条ないし895条)。
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡した時又は相続欠格事由があり若しくは廃除によって相続権を失った時は、その者の子が子と同順位の相続人となります。これを「代襲相続」といいます(民法887条2項)。代襲相続人が、相続の開始以前に死亡した時又は相続欠格事由があり若しくは廃除によって相続権を失った時は、その者の子が子と同順位の相続人となります。これを「再代襲相続」といいます(民法887条3項)。兄弟姉妹については、代襲相続はありますが、再代襲はありません(民法889条2項)。また、胎児にも相続権が認められます(民法886条)。
3.法定相続分
 法定相続人の相続分についても法律に定めがあります。これを「法定相続分」と言います。子と配偶者が相続人である場合には、子の相続分及び配偶者の相続分はそれぞれ2分の1です(民法900条1号)。配偶者と直系尊属とが相続人である場合には、配偶者の相続分は3分の2であり、直系尊属の相続分は3分の1です(民法900条2号)。配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合には、配偶者の相続分は4分の3であり、兄弟姉妹の相続分は4分の1です(民法900条3号)。子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人ある時は、各自の相続分は原則として均等とされます。但し、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1とされ、父母の1方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とされます(民法900条4号)。
4.相続財産
 祭祀財産と一身専属権を除く被相続人に属した一切の権利義務が相続の対象となります(民法896条。共同相続人のうちに特別受益を受けた者がいる場合には持戻の問題があります[民法903条]。)。借金や保証債務などの消極財産も原則として相続の対象となりますので注意が必要です。
系譜、祭具及び墳墓といった祭祀財産の所有権は相続の対象とはなりません。これらの祭祀財産の第1順位の承継者は、被相続人の指定に従って先祖の祭祀を主宰すべき者です。被相続人の指定に従って先祖の祭祀を主宰すべき者がいないときには、慣習に従って先祖の祭祀を主宰すべきものがこれを承継することになります。この慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が利害関係人の申立により祭祀の承継者を定めます(民法897条)。
5.遺言と遺留分
 被相続人は、その意思に従って、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができます。被相続人の右処分方法が法定相続における民法の規定と抵触した場合、「遺留分」を侵害しない限り、被相続人の意思が優先します。遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められるもので、直系尊属のみが相続人であるときは被相続人の財産の3分の1、その他の場合には被相続人の財産の2分の1が遺留分とされています(民法1028条)。

対応策

自分の死後に醜い相続争いが発生するのを避けて、死後においても自分の遺志が尊重されるようにするには、「遺言書」(設問[12-1-2]参照)を作成しておくべきです。そして、遺言書においては、取り分を巡って遺産分割の争いが発生しないように、具体的な分割方法について定め、分割を実行する人として資格と責任を持った弁護士を「遺言執行者」として選任しておくべきです。なお、被相続人の生存中に相続権を放棄されることはできませんが、家庭裁判所の許可を受けて遺留分を放棄させることは認められています(民法1043条)。遺言書において取り分が少ない相続人において遺留分を放棄させておくと紛争の予防にとって有意義でしょう。

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