法律Q&A

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フレックスタイム制とはどういう制度なのか?(P4-8)

(1)フレックスタイム制とは
 いわゆるフレックスタイム制とは、労使協定の締結などの一定の要件を充足したうえで「始業及び就業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」労働時間制をいいます。労働時間の弾力化のさきがけとなり、裁量労働に比較するとかなり普及している制度です(後記図解参照)。
(2)フレックスタイム制の要件
 労基法上、フレックスタイム制が認められる要件として、次のように定められています(同32条の3、労其則12条の2Ⅰ、同12条の3)。[1]就業規則等により始業および就業の時刻を当該労働者の決定にゆだれることを定めること[2]当該事業場の過半数代表者との間で、以下の内容を定める労使協定すること:a.フレックスタイム制を適用する労働者の範囲b.1ヶ月以内の清算期間c.清算期間における総労働時間d.その他(労其則12の3)で定める事項(標準となる1日の労働時間の長さ、コアタイムを定める場合にはその時間帯の開始及び終了の時刻、フレキシブルタイムに制限を設ける場合にはその時間帯の開始及び終了の時刻)[3]フレックスタイム制を実施する期間の起算日を就業規則または労使協定において定めること(労其則12条の2第1項)。
補足しますと、使用者は就業規則等にフレックスタイム制で労働させる労働者について「始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」旨を定めなければなりません。なお、労働者がフレックスタイム制によって労働する義務は、上記労使協定によってではなく、別に就業規則等の定めにより発生します。
又、清算期間とは、「労働者が労働契約上フレックスタイムの制のもとで、労働すべき労働時間を定める期間」のことです。労働者は、清算期間内において、「清算期間における総労働時間」労働するように、各日の始業および終業の時刻を自分で決定することになります。清算期間の長さは、1ヶ月以内の期間に限られています。この「総労働時」とは、フレックスタイム制において、労働契約上労働者が労働すべき時間として定められた時間で、いわゆる所定労働時間にあたります。この総労働時間は清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定めなければならなりませんが、その計算方法は、1か月単位の変形労働時間制の場合(40×変形期間の日数/7)と同様です(P4-7参照)。
(3)フレックスタイム制の効果
[1]基本的効果
フレックスタイム制においては、労使協定等で定められたコアタイム、フレキシブルタイム等の一定の枠内で労働者が各自の始業及び終業の時刻、ひいては各日の労働時間の長さを自主的に決定して働くことができ、そのその労働者の選択の結果、ある日の労働時間が8時間を超えたり、あるいは、ある週の労働時間が 40時間を超えても労基法32条違反の時間外労働とはならず、同37条の割増賃金の対象となりません(昭63.1.1其発1)。[2]時間外労働となる時間
フレックスタイム制の場合には、労働時間は清算期間を単位として管理されます。使用者はフレックスタイム制の場合にも、労働時間の把握義務があり、各労働者の各日の労働時間をきちんと把握すべき義務があるものとされ(昭63.3.14其発150)、時間外労働の計算は清算期間を単位として行われます。各清算期間において「労其法上の時間外労働」となる時間は、清算期間における法定労働時間の総粋を超えた部分です。
(4)清算期間中の実労働時間に過不足ある場合の処理
 実労働時間が、清算期間における総労働時間として定められた時間に比べ不足があった場合に、当期間内の賃金を減額することなく、次の清算期間中の総労働時間に上積みして労働させることは、翌期間の実労働時間が法定労働時間の枠内の範囲内である限り、可能とされますが、当期間内の総動時間が超過した場合に、超過部分を支払わず翌月労働時間を減らす方法による清算するのは違法とされています(昭63.1.1基発1)

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