法律Q&A

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年次有給休暇とはどういう制度なのか?(P4-16)

(1)年次有給休暇の取得要件と付与日数
 労基法上、労働者の時季指定権の行使(同39条4項)により当然に認められる年次有給休暇(年休)権は(P4-15参照)、下記図表の通り、雇入れの日から6ヶ月継続勤務し所定労働日の8割以上出勤した労働者に法律上当然に生じ、最低付与日数は、継続勤務6ヶ月で10日(同条1項)、その後、継続勤務6ヶ月を超える日から起算した継続勤務1年毎に8割以上出勤者に1日ずつ加算され、3年6ヵ月以上継続勤務し、直近の1年間の全労働日の8割以上出勤した者に対しては、2年6ヵ月を超えて継続勤務する日から起算した継続勤務年数1年毎に2日ずつ上限20日まで加算されます(同条2項)。又、パート労働者等所定労働日数が少ない労働者に対しては、同図表のように出勤日数に応じた年休の比例付与が定められています(同条3項、労基則24条の3)。なお、この年休権は、会社の就業規則等に年休の定めがなくとも、労基法上、当然に認められる権利です。
(2)「継続勤務」の意味
 ここで、年休取得の要件である「継続勤務」とは、労働者の在籍期間あるいは労働関係の存続を意味すると考えられています。例えば、短期の労働契約が反復更新して引き続き雇用されている場合、勤務継続があると考えられています。問題は、契約の更新の間に空き期間ないし待ち期間などが設定されているため、形式的には各契約が別のものとも見られる場合です。この問題につき、行政解釈は、「その実態により見て引き続き使用されていると認められ」るか否かを基準にして処理する、としています(昭63.3.14基発150)。判例(国際協力事業団事件・東京地判平9.12.1労判729-26)も、学説もこれを支持し、通説・判例といえるでしょう。そして、その運用は柔軟になされ、行政解釈は、概ね、空き期間の長さ、勤務事業場の変動の如何、常用労働者との平均稼動日数との比較などに加えて、使用者側における年休の付与義務回避意図の存否を具体的判断基準しているようです(労働省労働基準局編「全訂・労働基準法」上巻507等)。
(3)年休に関する労基法の規制
 以上のような年休取得要件・付与日数の他にも、年休につき、労基法は、概ね、次のような定めを置いています。

[1]存続期間
当該年内に取得し使い切れなかった年休は翌年に限り持ち越せます(同115条)。
[2]使用者の時季変更権
労働者の年休権行使が事業の正常な運営を妨げる場合には使用者は時季変更権を取得します(P4-18参照)。

[3]計画年休制度
事業場の過半数代表者等との労使協定の締結により(P11-3参照)、5日間以上を労働者の自由に使えるようにしておけば、残りの年休日に関しては、協定に従った計画年休取得を義務付けられることがあります(同39条5項)。

[4]年休取得時に支払われる支給額
年休取得時に支払われる賃金は、原則として、平均賃金(同12条)又は所定労働時間労働した場合に支払われる賃金です(同条6項)。

[5]出勤率算定上の特則
年休権発生要件たる出勤率算定上、業務上災害による療養期間、産休・育児介護休業期間等は出勤扱いとされます(同条7項)。

[6]不利益取扱禁止
年休取得への不利益取扱禁止が定められています(同附則134条)。

1.一般の労働者に対する付与日数(平成13年度以降)

継続勤務期間 6箇月 1年6箇月 2年6箇月 3年6箇月 4年6箇月 5年6箇月 6年6箇月 7年6箇月 8年6箇月 9年6箇月
付与日数 10 11 12 14 16 18 20 20 20 20

2.所定労働日数の少ない労働者に対する比例付与日数(平成13年度以降)

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れの日から起算した継続勤務期間
6箇月 1年6箇月 2年6箇月 3年6箇月 4年6箇月 5年6箇月 6年6箇月以上
4日 169日から216日まで 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日まで 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日まで 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日まで 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

【比例付与日数の算出の仕方】

現在、通常労働者の1週所定労働日数は5.2日とされている。(労基法施行規則24条の3)これから比例付与日数を算出する場合、次のように行う。

  • 週所定労働日数4日の労働者の勤続年数が6ヶ月の場合は
    10日×4/5.2
  • 勤続年数が1年6ヶ月の場合は
    11日×4/5.2のように計算します。(端数切捨て。)

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