法律Q&A

分類:

退職とはいつ認められるのか?(P7-1)

(1)労働者の退職の自由
 一般的には、使用者の解雇の自由が様々に制限されているのに比較して(P7-5参照)、労働者には退職の自由があり、退職についても使用者の許可を必要するような就業規則の規定は無効とされ(高野メリヤス事件・東京地判昭 51.10.25労判264-35)、せいぜい退職申出後2週間正常に勤務しなかった場合には退職金は支給しないなどの方法で退職まできちんと働かせる方法が許される程度です(大宝タクシー事件・大阪高判昭58.4.12労判413-72)。
(2)「退職」には二つの場合がある
 退職には二つの場合があります。両者を明確に意識していない場合もありますが、法的には、一方的に労働契約を解消する意味での解約告知としての退職(一般には辞職と言われ、「辞職届」が使われたりします)と、労働契約の合意解約の申込しての退職(一般には「退職願」が使われます)です。
(3)解約告知としての辞職の場合
 先ず、例外的な場合が多いと言えますが、従業員の「退職届」(書式のタイトルが「退職願」となっている場合もあります)が、会社の都合などまったく関係なく退職届に記載された退職日付に「なりふり構わず退職するという強引な態度」である場合、労働者による一方的な解約とされます。この場合は、就業規則に特別な定めのない限り、通常は民法627条1項に従い、2週間前などの必要な予告期間をおけば労働契約は終了することになります(ケズインターナショナル事件・東京地判平4.9.30労判616-10はこの予告期間に違反した退職に対する損害賠償責任を認めた念書を一部有効としています)。なお、いわゆる完全月給制で、遅刻・欠勤等の控除などしていない場合には、解約は翌月以降に対してのみなすことができ、しかも当月の前半にその予告が必要です(同条2 項)。又、期間の定めのある労働契約の場合には、解約としての辞職は「止ムコトヲ得ザル事由」ある時には直ちに解除できますが、そうでない場合には、企業に対して損害賠償義務を負担することもあり得ます(民法628条)。但し、実際に賠償を認めた判例はないようです。
(4)合意解約の申込としての退職願の場合
 しかし、一般の退職届や退職願は、(3)のような一方的な解約告知ではなく、会社に対する労働契約の合意解約に関する申込みの意思表示であると考えられています。この場合は、退職の効果は、会社の承認(承諾)によって発生します。一般の企業の実務では、直属上司が退職願を預かったままにしているだけでは退職の効果は発生せず、退職承認の人事権限を持つ人事部長等の受理をもって、合意解約の承諾と解されています(大隈鉄工所事件・最判最判昭62.9.18 労判504-6。退職届の撤回に関連してP7-3参照)。
この場合には、特に、慰留等により退職日の変更等がない限り、受理をもって、退職願等に記載の退職日をもって労働契約が終了することになります。
(5)承認がなかなか出なかった場合
 よくあるのが、前述のように上司が預かったままで人事部長に決裁に上げてくれなかった場合や、執拗な慰留に出会う場合です。このような場合、実際には、多くの企業の就業規則で、退職事由として、「本人の都合により退職を願い出て会社の承認があった時、または退職願提出後14日を経過した時」などの規定があり、法的には、この規定に基づく退職の効果を主張できるでしょう。もし、そのような規定がない場合には、(3)の解約告知を改めて、証拠を残す意味で、配達証明付きの内容証明郵便(詳細は郵便局でお聞き下さい)で行なった方が確実でしょう。
しかし、退職時のトラブルは退職する従業委員の、次の転職先に迷惑をかけたり、その後のキャリア形成に悪い影響もあり得ますので、できる限り話し合いで解決することをお勧めします。

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