法律Q&A

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どんな理由があれば解雇になるか?(P7-5)

(1)判例上の解雇の法理
 裁判所は、以前から、解雇一般について、次のような、いわゆる解雇の法理を確立して、企業の解雇について厳しい制限を加えてきました。即ち、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になり」(日本食塩製造事件・最二小判昭50.4.25民集29-4-456)、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になる」(高知放送事件・最二小判昭52.1.31労判268-17)、との判断を示していました。
(2)解雇権拡大を示唆する判例の出現
 ところが、最近、以上の判断枠組み自体を変えようとしたり、あるいは基本的にはそれを踏襲しているのですが、実質的に企業の解雇権を拡大しているとも解され得る一連の裁判例が、東京地裁労働部に現れ、マスコミをにぎわしたこともありました(ナショナルウェストミンスター銀行事件・東京地決平 12.1.21労判782-23等)。
(3)解雇の法理は生きています
 しかし、裁判例の分析によれば(丸子警報機事件・東京高裁平11.3.31労判758.7等)、基本的に前述の解雇の法理は根強く残っていて、東京地裁労働部における解雇権拡大の胎動を余り怖れる必要はないようです。従って、今のところは、前述の最高裁判例が指摘するような「客観的に合理的理由」という判断枠組みには変化なく、自己都合休職期間の満了(P4-20参照)や重大な業務成績・能力の不足や、別に触れる重大な懲戒処分事由に該当する場合や(P7-6参照)、整理解雇の要件が満たされる場合など(P7-7参照)に限られてきます。

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