法律Q&A

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業績の悪化によるリストラのための解雇や人員整理・早期希望退職とはどういうものか?(P7-7)

(1)整理解雇・人員整理
 デフレ経済の深刻化等の中で、企業においては、企業のスリム化などが進められ、雇用調整とその最終手段としての整理解雇(リストラ解雇・人員整理、つまり、企業の経営の合理化又は整備に伴って生ずる余剰な人員の整理)が幅広く進められ、大企業においてはほぼ同様の手順、つまり、昇給、賞与の削減、管理職手当や役員報酬のカット、残業規制、中途採用停止、配転、出向、新規採用の手控え、臨時雇・パートタイマーの雇止め、下請の解約、一時休業、希望退職(後述(3)参照)の募集などのいくつかを踏み、整理解雇は最後の手段としてできる限り回避される傾向があります。
(2)整理解雇4条件
 解雇に合理的理由を要とするという解雇の法理の適用として(P7-5参照)、裁判所は、整理解雇の効力の判断に当り、できる限り解雇を最終措置として解雇を回避してきた雇用調整の(1)の実態を考慮に入れて、多くの場合、次の4点の全部又は一部を判断要素として挙げています。[1]人員削減の経営上の必要性の存否、[2]整理解雇回避努力義務の実行の有無、[3]合理的な整理解雇基準の設定とその公正な適用の存否、[4]労使間での協議義務の実行の存否です(東洋酸素事件・東京高判昭54.10.19労民 30.5.1002、近時の例として日証事件・大阪地判平11.3.31労判765-57、丸子警報機事・東京高裁平11.3.31労判758.7やカンタス航空控訴事件・東京高判平13.6.27労判810-21等)。
(3)希望退職・早期退職者優遇制度
 リストラ策として、退職金支給率の割増、退職金額の上積などの優遇をなす希望退職が、それ独自に行われる場合もあれば、最終的な手段としての整理解雇についての前述(2)のいわゆる4条件中の解雇回避努力義務の一環として行われる場合があります。他方、定年前の一定期間に退職した者に対し、退職金等につき同様の優遇をなす早期退職者優遇制度が、実質は希望退職と変わらず実施される場合もありますが、建前的には人事ローテーションの円滑化等のため利用されることもあります。しかし、これらの退職者優遇措置の実施については、従来から、優秀な人材の流出防止策の可否などの問題がありましたが、判例上では、先ず、退職者優遇措置の適用について、企業が行った希望退職等の「募集」の法的意味が問題となりました。例えば、一定の年齢層や部署への募集の際に、これに応募すれば当然に優遇措置の適用を受けられるのか、あるいは、企業が必要と認めた人材には優遇措置の適用を拒否できるのかと言う問題です。この点に関して、判例は、募集は労働契約合意解約の「申込の誘引」(広告のようなもの)であって申込ではないとして(津田鋼材事件・大阪地判平11.12.24労判 782-47、大和銀行事件・大阪地判平12.5.12労判785-31)、企業による募集の撤回を認めたり、あるいは、募集条件の優遇措置の適用には会社の承認を要する旨の条項(いわゆる逆肩叩き条項)が、退職により企業の業務の円滑な遂行に支障が出るような人材の流失を回避しようとするもので公序良俗に反するものではなく有効であるとして、企業の承諾(承認)ない者への適用を排除することを認めています(ホーヤ事件・大阪地判平成9.10.31労経速 1674-26等)。しかし、49歳と50歳以外の従業員(47歳~54歳)の応募については、優遇規定を「準用」する旨の規定が重視されて最高額と同額の優遇措置の適用を認めた例もあります(朝日広告社事件・大阪高判平成11.4.27労判774-83)。なお、優遇措置につき、多くの場合、一律・平等な適用を求めることでしょうが、判例は(住友金属事件・大阪地判平12.4.19労判785-38)、退職加算金は退職勧奨に応じる対価であり、勧奨の度合いによってその時期や所属部署によりその支給額が変わっても、その応諾は労働者の自由な意思によるものであるから、平等原則に違反することはないとしていることに注意して下さい。

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