法律Q&A

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長期間勤めていたアルバイトやパートの契約更新が打ち切られるときとは?(P8-3)

(1)期間雇用労働者の意義と類型
 デフレ経済の進展の中で、企業は人件費の圧縮を図るために、期間の定めのない労働契約下にある正社員採用を抑制し、アルバイト、パ―ト、契約社員、嘱託などの名目の如何に関係なく、期間の定めをおく労働契約の下での期間雇用労働者を増加させています(P8-1参照)。
(2)雇止めへの行政の対応
 厚生労働省は、アルバイト、パートなどの期間雇用の雇止めに関して、反覆継続して更新してきた期間雇用に関して、一定の歯止めをかけている後述(3)の判例を踏まえて、以下の指針を示しています(平成12.12.28付「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」)。

[1]雇止めの予告
使用者は、有期労働契約の更新により1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告するよう努めるものとする。

[2]雇止めの理由の告知
使用者は、有期労働契約の更新により1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、労基法22条の退職時の証明における解雇の理由の証明に準じて、「契約期間の満了」という理由とは別に、当該労働契約に係る労働者が望んだ場合には更新をしない理由を告知するよう努めるものとする。

(3)雇止めに関する判例の対応
[1]最高裁判例
労動契約に期間の定めのない正規従業員(本工)などと異なって、期間の定めのある、臨時工、パート、アルバイト、契約社員などの非正規従業員との間の労働契約について、これを期間満了などにより終了(雇止め)した場合の問題については、裁判所は、基本的には、常用的な臨時労働者に対する最高裁の東芝柳町工場事件判決(最一小判昭49.7.22民集28-5-927)の考え方を適用しているようです。この判決は、「期間が定められていても、特別の事情がない限り反覆更新され、不況のときに正規従業員に先立って更新が拒否(雇止め)され、実質上期間の定めのない契約と異ならず、仕事の内容も正規従業員と大差のないような常用的臨時労働者」の場合は、雇止めを行なう際に、正規従業員に対して適用されている「解雇権濫用の法理」(社会通念上是認できる合理的理由がないと解雇権の濫用となり解雇が無効となるとする原則)を適用して(P7-5参照)、「余剰人員の発生等従来の取扱い(反覆更新)を変更してもやむを得ないと認められる特別の事情」がなければ雇止めできない、としたのです(日立メディコ事件・最一小判昭61.12.4労判486-6、平安閣事件・最二小判昭62.10.16労判506-13等参照)。

[2]裁判例の判断基準
裁判例の雇止めの適否の判断基準を抽象的に言えば、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無などが考慮されています(菅野和夫「労働法」第5版補正2版183以下)。進学ゼミナール予備校事件(最三小判平3.6.18労判 590-6)も、次のような基準を提示した原審(大阪高判平2.11.15労判590-6)を支持しています。即ち、「雇止めの効力の判断に当たっては、当該臨時従業員の従事する仕事の種類、内容、勤務の形態、採用に際しての雇用契約の期間等についての雇主側の説明、契約更新時の新契約締結の形式的手続きの有無、契約更新の回数、同様の地位にあるほかの労働者の継続雇用の有無に鑑み、期間の定めのある雇用契約があたかも期間の定めのない雇用契約と実質的に異ならない状態で存在しており、あるいは、そのように認めうるほどの事情はないとしても、少なくとも労働者が期間満了後の雇用継続を期待することに合理性が認められる場合には、解雇に関する法理を類進適用すべきである。」 、と。

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