職場の法律基礎

第6章 労働災害・通勤災害から従業員の健康までの対応が知りたい!

業務上と業務外の違いとは何か?(P6-2)

(1)業務上外の違いの意義
[1]補償面等での相違
 労基法上の災害補償ないし労災保険法の補償給付は、労働者に生じた負傷・疾病・障害・死亡が「業務上」と認められたときに与えられます。労災保険法の補償給付と他の社会保険との間にはかなりの格差がある現状では、業務上と認定されることは、労働者・遺族の保護に格段の相違をもたらします。又、いわゆる労災上積みの企業内補償制度や損害保険でも労災認定を要件としている場合が多いので、その影響は一層大きくなります(P6-6P6-7参照)。その意味で、業務上外の認定の問題は極めて重要な意義を持つため、実務でもこの点が大いに争われることになります。

[2]雇用保障・処遇等面での相違
 更に、業務上災害の場合は、負傷又は疾病による療養のための休業中の解雇禁止や(労基法19条1項)、年休の出勤率算定の際の出勤扱い等の有利な取扱いがなされています(同39条7項)。逆に言えば、業務上と認定されない私傷病による休業は欠勤として解雇や年休権の喪失につながる危険が高いということです。
(2)行政解釈等における業務上外の一般的認定基準
 そのような重大な処遇の差異をもたらす業務上外の判断について、行政解釈は、傷病が業務上のものと認められるためには、それが業務遂行中に、かつ、業務に起因して発生したものであることを要するとし、判例も(町田高校事件・最判平8.1.23労判687.16)、「業務起因性が認められるためには、業務に内在ないし通常随伴する危険の現実化として死傷病等が発生したと評価されることにより両者の間に相当因果関係が認められることが必要」と判示しています。通常は、業務に従事している際の災害については、特に業務起因性についての反証なき限り、一般に業務上の災害と認められ、業務起因性について反証の例としては、業務逸脱行為・恣意的行為・私的行為等が挙げられています。

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