- (1)原則的規制は割増以外にはない
- 労基法上、深夜労働とは、午後10時から午前5時までの労働を意味しますが、この深夜労働の時間自体の制限に関しては、後述の妊産婦・年少者等の特別規制を除き、一般的規定はなく、あるのは、この時間帯の労働に対する1.25倍以上の率で計算した割増賃金の支払義務のみです(同37条3項。P4-4参照)。
- (2)年少者の深夜労働の禁止
- 先ず、使用者は、交替制によつて使用する満16歳以上の男性の場合を除いて、満18歳に満たない者を深夜労働に使用できません(同61条1項)。均等法が強化された今日、この例外規定も早晩改正を迫られるでしょうが現行法では、男女差別を残しています。
- (3)妊産婦の深夜労働拒否権
- 妊産婦の請求ある場合には、妊産婦を深夜労働につけることはできません(同66条3項。P9-4参照)。
- (4)家族的責任を有する労働者の深夜労働の制限
- 更に、育児介護休業法により、小学校就学前の子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者(「家族的責任を有する労働者」)は、深夜業の免除を求めることができます(P10-3参照)。
- (5)労基法の労働時間規制適用除外者への深夜割増
- 労働時間規制が適用除外される労基法41条の管理・監督者等に該当する場合も、適用除外は、[1]労働時間[2]休憩[3]休日に関する規定だけです。従って、深夜労働に関する割増賃金、年休等については適用除外がないので、管理・監督者等もこれらの請求権を持っています。しかし、現実の会社で管理職に深夜勤務手当を支払っているというのは稀でしょう。これは労基法の誤解ということもありますが、一つには、管理職手当の中に一定の深夜勤務時間に関するみなし深夜勤務手当が含まれていると善解されているためと考えられます。同様に深夜勤務の労働者の手当にそれが含まれているとされる場合があります(昭 23.10.14基発1506等)。