法律Q&A

分類:

アルバイトやパートなどは年休や退職金を求めることはできるのか?(P8-2)

(1)パートなどにも年休はある
 アルバイトやパートタイマーなどの各種の非正規社員(以下、パートなど。P8-1参照)は、いずれも労基法上の労働者で(同9条)、同法の保護の対象となる点では正社員と変りがありません。従って、労基法が定める年次有給休暇(年休)は、出勤日数に応じた按分付与はあるものの、出勤率等の要件さえ満たせば取得できます(P4-16参照)。
(2)パートなどの退職金は就業規則等で明確に排除されていれば困難
 ところで、前述のように、退職金制度は法律上の義務ではなく、各企業の定めのよるものです(P7-12参照)。従って、ある企業に退職金制度がそもそもなかったらそれまでの話しです。問題は、正社員には就業規則で退職金制度が定められていながら、パートなどに関する制度がない場合です。この場合も、正社員の就業規則中に、退職金規程のパートなどへの適用除外が明記され、「雇入通知書」や同様の労働契約書などでもそのことが確認されていれば、退職金の請求は、困難となります(例えば、就業規則上正社員と定時社員が厳格に区別され、定時社員に適用されるパートタイマー就業規則に退職金を支給しない旨の明文規定があり、また同就業規則が定時社員であっても10時間程度の勤務もあり得ることを前提としていることからすれば、たとえ勤務時間が正社員と変わらなかったとしても、定時社員に正社員の退職金規定に基づいた退職金支給がなされるべきであるとはいえないとされた弁天堂事件・大阪地判平7.5.29労経速1576-8)。
(3)パートなどへの明確な排除規定がない場合は事情による
 しかしこれらの明確な除外規定ががない場合は、結局、各社の採用時の話しの内容や、取扱いの実態や慣行の有無・内容によって処理されることとなり(慣行による退職金についてはP7-12参照)、やや微妙な問題ですが、退職金を請求できる場合もあります。例えば、大興設備開発事件は、採用時に正社員の定年の60歳を超えていた、ものの、年金を受給しながら働きたいという高齢者従業員(高齢者)を、日給制で正社員に比べて短時間の勤務形態で採用した企業が、採用時の口頭の説明では、定年を超えた高齢者には退職金の支給がないことを伝えていたらしいのですが(しかし高裁ではこの点は認定されませんでした)、就業規則では、正社員用のものしか作成していなかったところ、約7年余の勤務後の退職に当たり、この従業員が正社員の就業規則に従って計算した退職金(約104万円)を請求したものです。
地裁判決は、企業の採用時の説明や本人が退職金が出ないことを承知で入社したこと、就業規則の労働条件と実際の労働条件の相違などからこの企業の就業規則の退職金規定は正社員のみに適用される、などとして、その請求を斥けました(京都地判平8.11.14労判729-67)。しかし、高裁(大阪高判平 9.10.30労判729-61)では逆転し、高齢者への退職金の支払いが認められました。即ち、就業規則の記載上、「適用対象を正社員と高齢者に分けて規定しておらず、規定の内容も従業員全般に及ぶものとなっていた」し「高齢者には適用しないという定めはないのであるから、本件就業規則は高齢者」にも適用されるとして、高齢者の退職金請求が、請求額の半額に減額はされましたが、認められたのです。
他にも、現実の就労時間などの点で一般従業員とは異なっていても、就業規則での適用除外がないとして病院の勤務医師に職員の退職金規定の適用が認められた例(清風会事件・東京地判昭62.8.28労判508-72)などがあります。もっとも逆に、宿直で守衛業務に就いている従業員に、昼間労働を前提とする就業規則をそのまま適用はできないとした例もありますので(江東運送事件・東京地判平8.10.14労判706-37)、注意が要ります。

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