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職場の法律基礎

第3章 人事異動のことが知りたい!

会社はどのような場合に降格をさせることができるのか?(P3-5)

(1)降格・降級の意義・態様
 降格については、部長から課長への降格のように職位を引き下げるもの(昇進の反対措置)と、職能資格制度下で、資格を低下させるもの(上記昇格の反対措置)、等級を下げるもの(上記昇級の反対措置で、これが多くの場合、「降級」と呼ばれます)とがあります。又、降格には、懲戒処分としてなされるもの(降格、降職等と呼称されます)と、人事異動(配転)としてなされる場合があります(菅野和夫「労働法」第5版補正2版407以下参照)。判例は、降格・降級 (一括して降格)につき、それが一般的には賃金の低下等の労働条件の改悪となることが多いことから、慎重な判断を示しています。
(2)懲戒処分としての降格
 懲戒処分としての降格については、相当性の原則等の一般的な懲戒処分の有効要件が問われることになります(P7-6参照)。なお、雇用期間を1年の常勤又は非常勤講師への懲戒降格は、その処分前後の雇用形態の差異に照らし、労働契約内容の変更に留まるものとみることは困難として、許されないとされています(倉田学園事件・高松地判平元5.25労判555-81参照)。
(3)人事権による役職・職位の降格
 これに対して配転としての降格の有効性の判断については、基本的には前述の配転命令に関する判断枠組みが適用され、前述の比較考量における労働者の職業上の不利益による権利濫用の存否として判断されます(P3-2P3-3参照)。
 例えば、これにより、降格が有効とされた例として、営業所長を営業所の成績不振を理由とする営業社員への降格(エクイタブル生命保険事件・東京地決平 2.4.27労判565-79)、部長の一般職への降格などがあります(星電社事件・神戸地判平3.3.14労判584-61)。
 しかし、判例は、その具体的判断においては、以下のように、降格が労働条件の改悪となることが多いことから、慎重な判断を示すものも少なくありません。例えば、課長職から降格した事例で(バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件・東京地判平7.12.4労判685-17)、課長職から課長補佐職相当職への降格は、使用者の人事権の濫用とは言えないが、この降格後の総務課(受付業務担当)への配転は違法とされたり、バイヤーからアシスタントバイヤーへの降格に関し、職種が一定のレベルのものに限定された労働者を不適格性を理由により低いレベルのものに引き下げる降格はできないとされ(デイエフアイ西友事件・東京地判平9.1.24労判724-30)、婦長から平看護婦への二段階の降格につき、業務上の必要性があるとは言えず、降格がその裁量の範囲を逸脱した違法・無効なものとされたりしています(北海道厚生農協連合会事件・釧路地帯広支判・平9.3.24・労判731-75)。なおシャチ殖産事件(大阪地判平成11.12.17労判789-80)では課長から係長への降格は有効としましたが更になされた係長から平社員への降格は無効とされています。
(4)職能資格の引き下げ措置としての降格
 なお、職務内容につき変更がないにもかかわらず実施された職能資格・等級の見直しに伴う給与の号俸等の格下げ措置につき、右措置の実施のためには就業規則等に基づく明確な根拠を必要とされるところ、会社にはそれらがなく、また、減給を定めた新就業規則上の規定の拘束力については不利益変更の高度の必要性が要求されるが、被告会社によるその点に関する証明がないとして、降格・減給措置就業規則のは効力がないとされた例もあります(アーク証券事件・東京地判平12.1.31 労判785-45)。又、マルマン事件(大阪地判平12.5.8労判787-198)では、家電製品販売会社の支店長等を歴任してきた労働者を資格等級3級から4級に引き下げた降格処分は、役職を解く類の降格ではなく、職能部分の賃金の減額を伴うもので、労働契約の重要部分の変更として従業員の合意又は就業規則上に要件を明示すべきで、これを欠くものとして無効とされています。

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