法律Q&A

分類:

労働時間に関する法律の規制とは?(P4-1)

(1)労働時間規制の推移
 労働時間の上限規制は、当初から工場法等の労働立法における中心的な対象となってきました(以下につき、山川隆一「労働問題Q&A」4基礎編1<JILのHP>参照)。その後、休憩時間に加え、休日、時間外労働に対する割増賃金、有給休暇など、規制の内容も多様化してきました。わが国では、昭和62年の労基法改正により、週の労働時間は最長40時間となりました。この週40時間制は、平成9年4月1日からは完全に実施されています。更に、昭和62年改正は、年休日数の拡大、変形労働時間制の拡充やフレックスタイム制および専門業務型裁量労働制の新設など、労働時間規制の弾力化を打ち出しました。更に、平成10年の改正により、年休取得・加算要件の短縮化、企画業務型裁量労働制の新設など、こうした傾向はその後も続き、現在も、厚生労働省にて、裁量労働制の適用要件の緩和の是非等が審議されています。
(2)規制の概要
[1]原則
労基法により、1週・1日の労働時間規制に関しては、使用者は、労働者に、休憩時間を除いて、1週40時間を超えて労働させてはならず(同32条1項)、かつ、1日8時間を超えて労働させてはならない(同2項)とされています。これに違反して労働者に労働させた使用者には、刑事罰による制裁がありますし(同119条)、労働者と以上の規制に違反する合意をした場合でも、その合意は無効となり、無効となった部分は上記の基準に従うことになります(同13条)。又、労基法33条や36条などにより(P4-3参照)、一定の要件のもとに時間外労働をさせることはできますが、その場合でも、使用者は1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません(同37条。P4-5参照)。

[2]適用除外
以上に対して、労基法40条に基づく恒常的特例として、10人未満の商業やサービス業等では、平成13年4月1日からは週の労働時間は44時間とされています(労基則25条の2)。また、農業・畜産業・水産業の労働者、管理監督者および機密事務取扱者、ならびに監視断続労働に従事する労働者(最後の者は行政官庁の許可が必要です)については、労働時間に関する規制は適用が除外されます(但し、年休や深夜割増賃金の規制は適用されます。労基法41条)。

[3]算定単位
労働時間が40時間を超えたかどうかを判断する単位となる1週間は、就業規則等に定めがあればそれにより、そうした定めがなければ、日曜日から土曜日までの暦週をいいます(昭63.1.1基発1号)。同じく、8時間を超えたかどうかを判断する単位となる1日とは、原則として午前0時から午後12時までの暦日をいいますが、午後12時前に始まった勤務が翌日に及んだ場合の労働時間は、翌日が休日でないかぎり、前日の勤務と一体のものとして判断されます(昭63.1.1基発1。 労働時間の算出方法に関してはP4-2参照)。

[4]労働時間管理義務
企業としては、賃金や割増賃金の支払の必要上、各労働者の労働時間を把握する必要があり、労基法上も、賃金台帳に各人の労働時間を記載しなければなりません(労基則54条1項5号)。以上の様々な労働時間規制に関する労基法の諸規定に照しても、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務があるとされています(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準<平13.4.6基発339>、P4-2参照)。さらに、いわゆる過労自殺に関する事件において、最高裁は、使用者は、長時間労働に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことのないように注意する義務を負うとし(電通事件・最判平成12.3.24 労判779-13<P6-7参照>)、厚生労働省も、過労死等の防止に向け、健康配慮の観点からの労働時間軽減を中心とした対策を企業に指導しています(過重労働による健康障害防止のための総合対策<平14.2.12基発0212001>)

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